これまでの、ICカード同士を重ねると不具合が発生することって多かったと思います。
ところが、最近のICカードは重ねてタッチしてもOKというものが増えてきていますが、お気付きでしょうか。
大きな声でアナウンスされていませんが、これの背景としては、下記の点が挙げられます。
- ICカードリーダーの性能向上
- 混線を想定したカード運用
- アンテナ形状の変化
1.カードリーダーの性能向上
性能とふんわりした言葉になっていますが、一番大きな要因としては「無線出力の向上」が大きいようです。
Felicaなどのタッチ式ICカードはカードリーダーから出ている電波をアンテナで受け取り、
電気に変えてICチップに電源を供給しています。
したがって複数枚重ねると、
すべてのICカードがアンテナで電波を受け取って動作するので、ICが動作するための電源が不足します。
そのため、カードリーダー側の出力が大きくなると、
複数枚重ねても動作できるようになるので、エラーが起こりにくくなります。
2.混線を想定したカード運用
次にカードが「アンチコリジョン対応しているか、していないか」という点です。
このアンチコリジョンとはFeliCaの無線通信で、同じ周波数で反応するカードが同時に反応してしまうことのことを指します。
例えるならば病院で名前を呼ばれるシーンで、
同姓同名の人が居た場合どちらが呼ばれたのか分からなくなりますが、それに似ています。(例えが乱暴ですが)
どちらのカードからも反応があると、カードリーダーはどちらが正しい信号なのか判断できずエラーになるという具合です。
SuicaやPASMOはアンチコリジョン対応、Edyはアンチコリジョン非対応となっています。
アンチコリジョン対応同士なら3枚まで重ねてもきちんと反応してくれます。
ただし、アンチコリジョン対応でも非対応のカードと重ねた場合、エラーが出る場合もあれば、出ない場合もあります。
当然、アンリコリジョン非対応の場合、重ねるとエラーが出ます。
3.アンテナ形状の変化
アンテナ形状は規格で決まっていますが、
形状が同じもの似ているものを複数重ねると得られる電波が少なくなり、
ICチップが動作するための電源が確保できずエラーとなります。
したがって、アンチコリジョン非対応でもアンテナの形状が違えばタッチしてもOKな場合があります。
身近な場合だと、SuicaとEdyの組み合わせです。
後述しますが、Suicaはアンチコリジョン対応、Edyはアンチコリジョン非対応ですが、重ねてタッチしても問題ありません。
IC免許証は重ねてOK?
一番身近な無線式ICカードといえば、免許証です。
免許証にもICチップが載っており、それも無線で動作します。
このIC免許証は、Felica規格のICカードではありませんし、アンチコリジョンにも非対応です。
したがって、重ねての読み取りは正常に出来ません。
ICカードの重ね対応具合
Felica→アンチコリジョン対応 この中のものは重ねてOKです。
Suica
PASMO
Felica→アンチコリジョン非対応 アンチコリジョンと重ねてもOKな場合があります。
Edy
Felica→要確認 試すしかありません。。。
nanaco
QuickPay
PayWave
EX予約ICカード (EX予約専用ICカード)
WAON
ISO/IEC 14443 TypeB (JIS X6322-2 B型)→アンチコリジョン非対応 アンチコリジョン対応のものでも重ねては使用できません。
IC免許証
ICパスポート
住民基本台帳カード(住基カード)
余談ですが、これらのICカードは13.56MHzという周波数の電波を使っています。
これと同じ周波数のものを使う場合、ICの読み取りが出来なかったりしてしまいます。
結論:ICカードを重ねると?
- アンチコリジョン対応のICカードは3枚まで重ねて大丈夫です。
- アンチコリジョン非対応が1枚でも混じるとエラーが出る可能性があります。
- Felicaと非FelicaのICカードは重ねて使用できません。
という結論になります。
全部、アンチコリジョン対応にしてくれと思うかもしれませんが、
読み取りできる距離が狭くなったり、データ通信量が増えたり、
速度が落ちたりという点で一概にアンチコリジョン対応化は出来ないようです。
重ねてもOKな組み合わせ(確認済みのもの)
- EX予約ICカード (EX予約専用ICカード):Suica(PASMO)
- Suica(PASMO):Edy
気にせず使用したい場合は、ICカードセパレーターを利用すれば両面で区分けして使用できます。